方法

SIMPLISの評価

SIMetrix/SIMPLISの無償エレメント版(イントロ版)を提供していますが、ユーザーの皆様にはぜひ製品版をお試しいただき、製品の評価を行っていただくことを強くお勧めいたします。一ヶ月間の無償評価用ライセンスご提供いたしますのでお気軽にご利用ください。ソフトウェアをインストールし、評価用ライセンスを有効にしたら、以下を参考にしてご評価ください。

SIMPLISの設計プロセスがもたらすメリットは何か?

目的に合わせてシミュレーションツールを活用すれば、製品の設計プロセスを確実に改善することができます。そのメリットについてこちらに簡単にまとめてみましたので、ご覧ください。

SIMPLISとSPICEの違いは?

Spiceの基本的な手法については、多くの方が経験をお持ちだと思いますが、部品レベルの線形シミュレーションの技術的側面についてはあまり知られていない部分もあります。こちらのPDF文書では、部品レベルの線形モデリングの基本についてご説明すると共に、SIMPLISがSpiceを大きく上回る効果をもたらせるケースについて詳しく述べています。 PDF document

サンプル回路を活用する

真っ白なキャンバスを目の前に一から始めるのではなく、まずサンプル回路の一覧をご確認いただくことを強くお勧めします。サンプル回路はダウンロードし、すぐにご使用いただける状態になっています。これを出発点として活用することで、大幅に効率を上げることができます。

SIMPLISチュートリアル

ユーザーがご自身で回路図を作成できる状態になったら、SIMPLISチュートリアルが非常に役に立つでしょう。チュートリアルでは、SIMPLISでシミュレーションを行う回路図を作成し、正しく設定する方法について、順を追って説明します。

この製品評価の目的は?

貴重なお時間を無駄にしないために、製品評価に関する簡単なケーススタディをいくつかご用意しました。ケーススタディでは、本製品の評価に関わることの多いエンジニアの視点から、このツールをお使いいただく上で考慮すべき重要な質問を取り上げています。

SIMetrix/SIMPLISの一か月の評価用ライセンスは無償ですが、ユーザーの皆様の時間はただではありません。当社のソフトウェアのために貴重なお時間を割いていただくことになるので、最大限の効果をあげられるようお手伝いさせていただきたいと思います。
まず、私達の経験から言えることは、製品評価の目的を具体的に書き出すことは非常に有効です。目的を明確にすることで、優先順位の高い項目に重点的に時間をかけることができ、その検討結果に基づき、SIMetrix/SIMPLISが設計プロセスのどの部分でどのように役立つのかきちんと判断することができます。評価の目的をどのように設定すればよいかわかりやすくご説明するために、2つの「ケーススタディ」をご用意しました。

 

ジャック - 電源設計担当者
職務内容:詳細な電源設計-電源設計全体に責任を負う、外部仕様を満たし、コンポーネントの定格内に収める

ジャックの評価の目的
私はどのようなシミュレーションツールであっても、使い方を習得できる自信があります。Spiceについては豊富な使用経験があります。私が今回確認したいことは、SIMPLISの導入によりある程度の期間内にプロセスを改善することができるかどうか、そしてその改善の度合いがツールの習得に要する時間とコストに見合うものであるかどうか、ということです。その判断を行うためには、SIMetrix/SIMPLISで電源のモデリングを行うのに、どれだけの作業量が発生するのかを把握する必要があります。

 

具体的な評価ポイント:
1. SIMetrix/SIMPLISで、私たちが扱っているタイプの回路トポロジーを解析することができるか?

  • 過渡性能を確認することはできるか?定常状態の性能は?ボード線図やAC解析は?
  • あらゆる動作状態におけるシステム性能を十分に評価したいが、それができる位に高速(短時間)でシミュレーションを行えるか?
  • どの程度詳細/正確なシミュレーションが可能か?
  • 現実的にシミュレーション結果の精度はどこまで高められるか?

2. 実際に私たちの製品のモデルを作成するのはどれ位大変か?

  • 以下のモデリングを行うための作業量はどの程度か?
  • FET
  • 変圧器
  • 制御IC
  • SIMPLISのモデルがある制御ICはいくつあるか?
  • 私が使いたいIC制御器用のSIMPLISモデルがなかった場合どうするか?
  • SIMPLIS Building Block libraryとは何か?
  • 既存のSpiceモデルをSIMPLISモデルに変換するには、どの程度の作業量が必要か?

ジル - ICアーキテクト
職務内容: 新しい電源管理ICのアーキテクチャを定義する。新製品の定義は、幅広いアプリケーションにおける顧客のニーズを満たすものでなければならず、それを既存のICプロセス性能の中で低コストで実現できなければならない。

ジルの評価の目的
私達のグループはSpiceの使用経験は豊富です。しかし、Spiceには、電源のシステムレベルの性能や製品機能の全動作をモデリングするには時間がかかりすぎるという問題点があります。私達の希望としては、詳細なトランジスタレベルの設計を固め、テープアウトする前の段階で、新製品の定義を検証し、顧客のシステムアプリケーションにおいて期待通りの性能を発揮できるかを確認したいと考えています。まず、SIMPLISが製品のシステムレベルの動作をどのようにシミュレーションするのかを、実際に見てみる必要があります。そして、私達の新しいIC製品の動作モデルを作成するのがどの程度大変なのか、またSIMPLISを実際に使用する上でどのような制約があるのかも知りたいと思います。
モデリングに使うのは私達の実際の製品である必要はありませんが、私達の製品に似たサンプル回路を使い、完全なモデリングを見てみたいと思います。それにより、私達の設計環境においてSIMetrix/SIMPLISをどのように活用できそうか、ある程度推測できるはずです。

具体的な評価ポイント:
1. SIMetrix/SIMPLISで、私達が扱っているタイプのIC、回路トポロジー、制御原則を解析することができるか?

  • 類似の応用回路をいくつか見てみて、以下を確認する
  • 過渡性能を見ることはできるか?定常状態の性能は?ボード線図やAC解析は?
  • あらゆる動作状態におけるシステム性能を十分に評価したいが、それができる位に高速(短時間)でシミュレーションを行えるか?
  • 新製品の定義にあたっては、何百回もシミュレーションを行うことになるが、電源全体のシミュレーションを行う場合のスピードは妥当か?
  • どの程度詳細/正確なシミュレーションが可能か?
  • 動作モデリングについては、大部分がマクロな視点での確認となるが、新製品定義の最終段階においては、SIMPLISのプロトタイプを使って、設計上の細かい問題点をできる限り多く解決したい。
  • 現実的にシミュレーション結果の精度はどこまで高められるか?

2. 実際に私たちの製品のSIMPLISモデルを作成するのはどれ位大変か?

  • 以下のモデリングを行うための作業量はどの程度か?
  • 私達の製品と同じような制御IC
  • 階層ICモデルの例をいくつか見てみる
  • SIMPLISのBuilding Block Libraryの何を使えば、ICモデリングをより簡単に行うことができるか??
  • 他社では新製品の定義においてSIMPLISをどのように活用しているか?
  • パワーFET
  • 磁性体

 

30日間の評価期間内ではできないこともあります。評価にあてられる時間が限られているため、以下の制約があります。

  • SIMetrix/SIMPLISの全段階の使い方について完全にマスターできるエンジニアは少数でしょう。
  • 評価ライセンスで実際の業務を行っている場合は別として、通常、白紙の回路図から始めて製品の詳細なモデルを完成させるのには、慣れるまでは時間がかかるため、最初に想定していたよりも多くの時間が必要になるでしょう。

従って、限られた時間内に最も重要な目的を達成することができるよう、優先順位を決めていただくことが非常に重要です。


シミュレーション戦略を決める上で重要な要素

スイッチング電源回路の設計において、バーチャルプロトタイピングは現実的には難しいことでしたが、SIMPLISはこれまでにはない形でそれを可能にしました。シミュレーションは、ハードウェアでのテストや検証に完全に取って代わるものではありませんが、SIMPLISによるバーチャルプロトタイピングは、電源設計をハードウェアに落とし込むまで発見不可能だった設計ミスの50%以上を見つけることができます。設計品質の向上という点において、これに匹敵する方法はないでしょう。

SIMPLISを最も有効活用しているユーザーは、PCBやICのレイアウトに着手する前に、まずSIMPLISで設計の性能を検証しています。そういったユーザーは非常に大きなメリットを実感しており、それだけの成果をあげた設計グループで、SIMPLISから別の製品に切り替えた例はこれまで一件もありません。

SIMPLISの導入により、バーチャルプロトタイピングは実際の電源設計において現実的且つ魅力的な選択肢となります。ただ、SIMPLISは一部の企業や組織にとっては、あまり馴染みのない製品であり、新しい手法を組織に導入するのはそれほど簡単なことではありません。特に、比較的短期間で組織内の多くの部分でメリットを出したいという場合には、それなりのやり方が必要になります。私達の経験から言えるのは、組織が自らのマーケットにふさわしいシミュレーション戦略を定め、その戦略をどれだけきちんと設計チームに伝えることができるかが、結果を大きく左右します。

大まかに言って、成功を収めている組織は、以下2つのいずれかのアプローチを取っています。

1. 社内の専門家がプロジェクトを推進する方式(例:Delta/Artesyn/Astec)。これらの組織では、最初の時点ではシミュレーションの文化は確立されておらず、まず一人か二人の専門家がシミュレーション戦略を策定し、実際の設計を使って何度かトライアルを行います。その過程で専門知識を習得し、シミュレーション戦略が十分に改良された時点で、チームの残りのメンバーにトレーニングを行います。このやり方にはかなりの時間(ほとんどの場合、数年単位)がかかりますが、新しい手法を複数の設計グループに展開しようとする場合に必要とされるシミュレーションサポートインフラを間接的に構築できるというメリットがあります。結果として、ユーザーが困っている時にサポートを行える専門家が常に社内にいる形となり、IC制御器のモデル作成といったモデリングの効率に関わる問題にも対処できます。この方式は、常にシニアマネジメント層から十分な支援を得て進められますが、初期段階では設計マネージャが技術的なシミュレーション作業を積極的に指揮しないケースが多くなっています。

2. 社外の専門家がプロジェクトを推進する方式(例:Vicor/Power Integrations)。これらの組織においてはすでにシミュレーションの文化が十分に確立されていますが、SIMPLISの認知度は高くありません。つまり、バーチャルプロトタイピングをどのように行いたいか明確なビジョンは持っているものの、これまでそれを実現する術がなかったという状態です。こういった組織はSpiceには非常に精通しており、組織の規模は1の場合(エンジニア100~300人)よりかなり小さい(エンジニア10~20人)ことが多いです。自分たちのビジョンを明確なシミュレーション戦略に変えるための足掛かりとして、まず外部の専門家を招き、カスタマイズされたトレーニングを行います。このトレーニングには具体的な目的が設定されており、シミュレーション戦略を迅速に策定・周知するためにはどうすべきかを明確にすることも、目的の一つにあげられています。通常、技術的なレベルまでマネジメントが深く関与し、マネージャ達はシミュレーションの必要性とその費用/技術的課題の両面について現実をよく把握しています。一般に、マネージャは設計エンジニアに対して、80対20のルールを実行する「許可」を与える存在であり、追加の時間や費用に見合うだけのメリットが見込めない場合には、それ以上複雑なシミュレーションモデリングは行わせないようにします。この方式では、6~8週間で目覚ましい成果を上げることができます。


最後に、上記のいずれのアプローチも収束する傾向にあります。1番目の方式では、初級レベルのマネージャが関与する必要があり、プロセスを統括するようになります。2番目の方式では、各エンジニアが自分の担当するIC等のモデリングをすべて行わなくてもいいよう、シミュレーションインフラを構築し、サポートする必要があります。

シミュレーション戦略には、技術的側面とビジネス的側面という2つの重要な要素があります。技術的側面とは、会社としてのシミュレーションの目的を製品クラス毎に詳細に定めることです。シミュレーションの各目的に対して意味のある結果を出すためには、回路の重要なコンポーネントそれぞれについて、要求される定量的測定値とどの程度詳細なモデリングが必要かを明確に定義しておかなければなりません。信頼性の高い結果を一貫して達成するためには、この技術的側面を要約し、設計チームのメンバー全員に明確に伝えておく必要があります。戦略が技術的に有効であることを確認するために、新しい製品クラス毎にシミュレーション結果と測定した波形を比較して検証を行います。シミュレーション戦略を策定する上で、シミュレーションの専門知識に勝るものはありません。組織内にSIMPLISの専門家を短期間で育成するためには、トレーニングセッションが非常に有効かもしれません。

シミュレーション戦略においては、ビジネス的側面も技術的側面と同じ位重要です。組織内のリソース、スキル、マーケットの要求事項を踏まえた上で、SIMPLISのプロトタイピングから短期間で最大限の効果をあげるためにはどうすればよいか-その答えを見つけることが、ビジネスの課題となります。いかなる場合においても、プロセスの早い段階において、ビジネスに大きな成功をもたらす選択をしておくことが重要です。その後、その成功を足掛かりに、シミュレーションの取り組みの範囲と対象を広げていきます。

早い段階でSIMPLISプロタイピングの成果をあげる鍵は、組織としてこの新しい世界に踏み出す際、最初に取り組む問題を正しく選ぶことです。最初の段階できちんと成果を出すことができれば、どうボタンを押せばいいのかといった機械的な問題は引っ込んでしまうでしょう。最初の2つのプロジェクトを成功裏に実行することができれば、組織内の支持を取り付けることができます。設計エンジニアが、SIMPLISプロトタイピングが自分の仕事にとってプラスになると納得し、そのやり方を習得すれば、プロセスを遅らせる要因になる様々なシミュレーション上の問題にも対処できるようになるでしょう。

この新たなプロセスを組織内に早期に導入するためには、最初に適切なプロジェクトを選び、適切なシミュレーションの目的を設定することが非常に重要です。そこではプロジェクトリーダーが非常に重要な役割を担います。正しい選択を行うためには、的確な判断力、そしてシミュレーションがビジネスにもたらす価値と技術的な課題をきちんと理解することが必要です。

シミュレーション戦略の技術的側面およびビジネス的側面を定義する際、目標を高く設定し過ぎたり、シミュレーションプロジェクトの早い段階で詳細を求め過ぎたりすることがよくあります。バーチャルプロタイピングの取り組みが行き詰まる最大の理由は、短期間で多くの成果を出そうと焦ることにあります。実際には、特に冒険的な取り組みをしなくても、技術的/ビジネス的な知見により容易に達成できることもあるはずです。(IBMのKevin Coviの例をご覧ください。)

バーチャルプロトタイピングは、SIMPLISを使用するスイッチング電源設計者にとって、現実的な選択肢となっています。組織が早い段階でバーチャルプロトタイピングから成果をあげることができるかどうかは、マーケットに合ったシミュレーション戦略を策定し、その戦略の内容を設計チームに十分に伝えられるかにかかっています。この戦略の鍵となるのは、最初のプロジェクトの目的を賢く選択することにより、設計エンジニアに多くの負担をかけずに、早い段階で大きなメリットを出せるようにすることです。